「浮気を認めたけど、自白は浮気の証拠になるの?」
何やら夫の様子がおかしい!妻のカンで、「浮気しているでしょ!!」と夫に詰め寄ったら、予想外にも認めてしまい、慌てた方もいるかもしれません。特に他には有力な証拠がなくても、夫の自白だけでも浮気の証拠になるのかが気になりますね。
今回は物証がないにも関わらず浮気を認めてしまったケースは、果たして法的に有効な浮気の証拠になるのかどうかについて考えていきましょう。
目次
浮気の自白は証拠になるの?
夫の動向に疑問を感じ、多くの証拠を見せて問い詰めた時に夫は浮気を認めることがあると思います。または、「浮気してるでしょ」って浮気しているかどうかを聞いただけで、アッサリと夫が浮気を認めてしまうなんてこともあるでしょう。
夫が観念して浮気を自白した場合、証拠になることもあれば証拠にならないこともあります。
浮気の自白で証拠になるケース、ならないケースについて知っておきましょう。
口頭で認めても証拠としては弱い
「あなた、浮気しているわね!」と夫に問い詰めたら「ごめん」とあっけなく浮気を認めてしまった・・。「え?本当に?」と、あなたの方が驚いてしまうような展開になってしまった場合、夫の浮気は確実ですが、浮気の証拠としては弱いです。
肉体関係があったことや浮気相手の氏名や住所を自白し、あなたはしっかりと聞きました。
「夫が自白したんだから、もうこれで証拠を掴んだわ!」と思いがちですが、実は口頭のみの自白は、法的に有効な「浮気の証拠」とは言いきれません。
自白の内容による
夫が浮気を認めて自白をした場合「どこの誰」なのか浮気相手の身元をはっきりさせているものでなければいけません。
浮気相手の名前や住んでいる場所などがわかっていない場合、夫が浮気を認めたとしても情報としては不十分です。慰謝料請求を考えている場合は少なくても浮気相手の名前と住所を知る必要があります。
→「浮気相手の本名や連絡先など身元が分からない時は?」
後から「言ってません」と撤回することも考えられる
確かに夫が浮気を認めたのを、あなたは聞いています。ですが、後になってから自白したことを後悔し、「そんなこと言ってない」と夫が撤回することも十分考えられます。「あの時言ったじゃない!」といくら夫を責めたとしても。「言ってない」と言われてしまえば「言った」「言わない」の水掛け論に発展してしまうだけです。
例えば、その場しのぎに夫が浮気を認めたとしても、後から妻が慰謝料請求や離婚を考えていることを知って、慌てて撤回することも多くあります。しかし、夫が浮気を認める発言をしたという『証拠』がない以上、法的にも立証される証拠とはいえません。
口頭だけの浮気の自白だけでは不十分です。
夫が浮気を認めたにも関わらず、自白を撤回してきた場合には証拠となるものを集めていく必要があるでしょう。
音声で録音した自白は浮気の証拠になる
口頭だけの自白では浮気の証拠にはなりません。では、夫が自白したのを音声で録音した場合は浮気の証拠になることが多くなります。
音声で記録を取ることで口頭のみでの供述と違い、音声が録音されていれば「言った」「言わない」の水掛け論に発展するのを防ぐことが出来ます。
本当に夫が切羽詰まれば、「これは俺の声じゃない!」と難癖をつける可能性も捨てきれませんが、「声紋鑑定」等に発展するケースは浮気問題では、ほぼありません。
自白した夫の声を録音しておけば、証拠としては成立します。ICレコーダーやボイスレコダーなどを利用するといいでしょう。
夫、浮気相手に書かせた念書・謝罪文は浮気の証拠になる
浮気を自白した音声以上に、しっかりとした浮気の証拠になるのが念書や謝罪文です。
これは自分で浮気を認め、その行為を謝罪し、直筆で署名し捺印するのですから、「浮気の証明書」と言っても過言ではありません。
夫や浮気相手が不倫関係を認めたら、謝罪文や念書を書いてもらうようにします。そして、氏名、住所、日付を記入してもらい、忘れずに捺印してもらいます。浮気相手に氏名や住所を書いてもらう時は、虚偽の申告の有無を確認するためにも免許証などで確認すると良いでしょう。
片方が浮気を認めた場合も浮気の証拠になりますか?
通常であれば、夫または浮気相手が関係を認めた場合、二人の間には不倫関係があったと予想されます。ですから、どちらか一方が認めれば、浮気の事実はあったと考えるのが一般的です。
片方だけが浮気を認めた場合も、確固たる証拠として残しておくために念書や謝罪文を書いてもらうようにするといいでしょう。
自白だけで浮気相手に慰謝料請求は出来るのか?
あなたの夫が浮気を認めたら、浮気相手に対して慰謝料請求は出来るのでしょうか?
実は、法的な証拠がなくても浮気相手に対しては慰謝料請求することは出来ます。なので、夫が浮気を自白しただけでも慰謝料請求はできます。
ポイントは浮気の証明ができるか
慰謝料請求は浮気の証拠を保有していることが前提になってきます。
普通であれば証拠がなければ支払いには応じてもらえません。というよりも「私は浮気なんてしていません」と言われたときに浮気を証明できなければいけません。
そして、浮気相手が夫は既婚者だと知っていた必要があります。
その場合、夫が書いた謝罪文などを証拠として提出することは可能です。しかし、浮気相手が異を唱え、「私は浮気していません」「既婚者だと知らなかった」と拒否することも考えられます。
「あなたの夫が嘘をついてるのでは?」「なぜ私がそんな侮辱をされなければいけないの?」等と、逆にあなたや夫に対して名誉棄損を訴え、損害賠償請求をすることも考えられます。
こうなれば、様々な証拠や状況判断を裁判所に委ねる形になります。
その場合、より強い「浮気の証拠」の提出が必要になってくるかもしれません。なので慰謝料請求をするときには準備をすることが重要です。
慰謝料請求自体は夫の自白があれば可能です。相手が反論する可能性も捨てきれませんが、謝罪文などがあれば重要な証拠として採用されるでしょう。
浮気を認めた時は音声と書面にしてもらおう!
確固たる物証がなくても夫や相手女性が浮気を認めたら、やはり強い証拠として残しておくことが大切です。「そんなことは言っていない!」と後で言い逃れをされないためにも、二重、三重で対策を練っておくことが大切です。
「浮気しました」と告白しただけでは、証拠にはなりません。証拠として残しておくためには、音声と書面にしておきましょう。
特に肉体関係・不貞行為があったことを記入してもらうと、ラブホテルへ出入りしている動画や画像同様の『不貞の証拠』になるはずです。
自白をしてもらう時は強要してはいけない
物的な証拠がなくても、本人の自白があれば不貞行為は立証されます。
ニュースで見るような刑事事件でも、物証がなくても本人の供述だけで有罪になるケースもありますね。でもここで大切なのが、自白を強要しなかったか?ということ。自白を強要した場合、自白そのものに証拠能力が失われてしまうケースもあります。
テレビなどで見る刑事裁判でも、「警察の暴力によって自白を強要された」などといった事件が取りざたされているのを見たことがあるかと思います。
強引な手法で、または暴力行為をされて、自白を強要させられたという告白なども時折ありますね。自白の強要は「冤罪事件」の温床になるとされています。その結果、今では警察署でもビデオカメラを回し、画像や音声で取り調べを記録することが義務付けられています。
夫が浮気を自白する際も同様に、私たちが強要をすることは認められません。書面で浮気の証拠を残したとしても、自白を強要されたと夫が訴えれば証拠としては採用されません。
では、どんなケースが『自白を強要』することに該当するのでしょうか?
「浮気を認めなければ△△する!」や暴力を振るうのは完全アウト
夫または浮気相手を問い詰め、「浮気を認めなければ会社(親)に言うから!」「謝罪文を書かないなら、酷い目に合わせるよ!」「念書を書いてくれなかったら私は自殺します」などの発言があれば、自白の強要と認められます。
後で、「認めたくなかったけど、強要されたから仕方がなく書いた」と言われれば、証拠としては怪しくなってきます。
また、夫や浮気相手を殴ったりして書面を書かせようとするのも、暴力によって強要したことになります。暴力を振るったり、無理やり強要して自白させるのはご法度といえるでしょう。
書面にする時は何を書いてもらう?
後に「正式な浮気の証拠」「不貞の証拠」として使える書面を残したい場合、書いてもらうべきことが何点かあります。夫に書いてもらうケースであれば、
- 自分の名前、住所、生年月日
- 浮気相手の名前、住所、生年月日、職場など
- 浮気相手があなたの夫が既婚者であるのを知っていたこと
- 肉体関係があったこと
- 複数回の肉体関係があれば、その回数など
を書き記してもらうと、慰謝料請求や離婚裁判などでも有利になる「不貞の証拠」を押さえることが出来ます。「○月×日 私は●●さんと浮気しました」などの簡単すぎる書面であれば、どんな関係があったのかが分かりませんね。既婚者であることの認知、また肉体関係の有無について書いてもらうと強い証拠になるといえます。
書いてもらった念書や書面は公正証書にする
浮気を自白して書面を書いてもらったら、必ず公正証書にしておきましょう。念書や謝罪文、示談書を作成し、公正証書にしておけば法的に有効な契約書になります。
公文書にしておくことで、慰謝料の支払に応じたにもかかわらず支払われなかった場合等は、強制執行の対象になります。『強制執行認諾約釈付公正証書』にしておくと、訴訟を起こさずとも強制的に支払いを受けることが可能になります。
話をする時はICレコーダーやボイスレコーダーで録音しておこう
夫や浮気相手に自白してもらう際や、書面を書いてもらう時は音声を録音しておくと便利です。
音声で当時の状況が分かれば、「自白を強要された」等と後から言われても、証拠として音声を提出できます。相手の自白を強固なものにするためにも、自分を守るためにも音声の録音は有効です。
「でも、音声の隠し撮りは証拠にならないのでは?」そんな疑問も沸きますね。でも、これから話し合いだという時に「今から音声を録音します」というと警戒されそうだし、どうしたらいいのでしょうか?
確かに音声や動画の隠し撮りは不法行為の一部とされ、証拠にならないというケースもあります。ただ、民事上の争いである浮気問題で、音声の録音程度は大きな問題にはならないようです。自分の身の潔白を証明する手段でもありますし、話し合いや示談を締結する際には音声録音は必須事項といえるでしょう。
浮気の自白だけで裁判に勝てますか?
夫や女性からの浮気の自白があった場合、果たしてこれだけで裁判に勝てるのでしょうか?自白があれば物証がなくても有罪になるという日本の法律ですが、時折抜け道もあるので注意しておきましょう。
夫と浮気相手の双方が浮気を認めている
夫と浮気相手の双方が不貞関係を認めており、書面や音声などで自白内容が残されていれば裁判にも有利なのは確かです。何より、最初から浮気を認めていれば裁判に発展することなく、示談で済ませるケースも多いと考えられます。
片方が浮気を否認している
夫、もしくは浮気相手の片方が不貞関係を認めていない場合はどうなるでしょうか?この際は、片方だけの自白書だけでは弱い側面も発生します。あなたは、自白書以上の「不貞行為」があったという証拠を提出する必要が出てくる可能性もあり得ます。
自白があり、正当な書面があれば「不貞行為」があったとは予測できますが、一方が否定していれば「100%不貞行為があった」とは言い難いものがあります。夫を貶めるために浮気相手が嘘を言っている、虚言症があるなどの可能性も捨てきれません。確実に裁判に勝てると断言できるかどうかは難しいところです。
「勝てるだろう」と考えられはしますが、「100%勝てる」とは残念ながら断言はできません。新たな証拠の提出が求められることも、一応考えておくようにしたいものですね。
浮気の自白は証拠になるが形にできなかったら探偵に相談を
夫や浮気相手の自白は、それだけでも浮気の証拠にはなります。ですが、少なくても「どこの誰」と浮気をしたのかがはっきりしている必要があります。
音声や正式な書面で残し、公正証書などにしておけば法的に有効な証拠になるのは確かです。
しかし、一方が不貞行為を否定したり裁判に発展した場合は、より強い証拠を求められる可能性も考えられます。
まずは、様々な側面から証拠集めをし、自分で集めた浮気の証拠をまとめ、足りないようであれば探偵に相談してみるといいでしょう。あなたの現在持っている情報が浮気の証拠になるのか判断していただけると思います。
また、一度浮気を認めても撤回をしてくるようなケースでは浮気が水面下で継続していることが考えられます。
この場合も一人では不貞の証拠を抑えるのは困難ですので、様子がおかしいときは探偵に相談してみましょう。
夫から浮気の自白を得られた時はそれを元に、二重、三重の証拠を確保しておきましょう。そうすれば、後からトラブルが発生したり、逆に浮気相手から訴えられても安心して強気で浮気相手に対応することが出来ます。