「浮気相手の職場や勤務先が分かったら慰謝料請求できますか?」
こっそり見てしまったメールやLINEの内容から、夫が浮気していることが判明した時、「浮気相手に慰謝料請求してやる!!」と考える方も多いかもしれません。ですが、肝心の浮気相手が誰なのか、どんな職場で働いているのかが不明な場合、慰謝料請求が出来ないという話も聞きます。
なぜ浮気相手の職場や勤務先が分からなければ慰謝料請求は出来ないのでしょうか?また、職場や勤務先を特定できたら、どんなことが可能になるのかを考えてみたいと思います。
目次
浮気相手の勤務先を特定すると出来ること
浮気相手が身近な人物で無かった場合、勤務先や職場を特定するのはかなり難しい話です。ですが、勤務先を特定することで出来るものが多くあり、可能な限り職場を調べておく方が良さそうです。
では、勤務先を特定することで出来るとされていることとは、いったい何なのでしょうか?
浮気相手の住所の特定
勤務先を特定することは浮気相手の住所を特定することもできるようになります。あなたの夫の浮気相手に慰謝料請求をしたいと考えた場合、浮気相手の氏名や住所が必要になります。なぜならば、示談で済ませることもできますが、慰謝料請求をする場合は内容証明を送る必要があるからです。
勤務先さえ特定出来れば、尾行するなりして自宅を特定することは、さほど難しいものではありません。
慰謝料請求と内容証明郵便の送付先
万が一、何らかの理由で自宅が不明で住所の特定が困難だった場合はどうなるでしょうか。こんな時も勤務先さえ判明していれば、慰謝料の請求や内容証明郵便の送付が可能です。
法律では職場への内容証明の郵送は禁じられていないので、住所が不明だった場合は勤務先に郵送できます。ですが、職場への内容証明の発送はトラブルを招く可能性もあるので、できれば自宅の住所へ発送したほうが無難です。
訴状の送付先
内容証明郵便での慰謝料請求が拒否された場合、あなたは浮気相手を訴えることが出来ます。この場合も相手の女性の住所が不明であれば、訴状の送達先を勤務先にしても大丈夫です。勤務先への訴状の送達は、民事訴訟法第103条第2項で認められています。
あなたが裁判所に浮気相手への慰謝料請求裁判を起こした場合は、書記官が職権で特別送達します。差出人名にはあなたの名前ではなく、裁判所名が記載されることになります。ですから、職場に訴状が届けば、訴えられている状態が如実に判明してしまうことになるでしょう。しかし自宅の住所が不明、または何らかの理由で送達できない場合は勤務先に訴状を送付するしか方法はありません。
慰謝料不払いの時の給料の差し押さえ
裁判が結審し、浮気相手に慰謝料を支払う債務が発生したとします。ですが、これを拒否したり支払いが滞った際は、給料の差し押さえなどの強制執行をすることができます。よくあるのが預金口座や給料の差し押さえということになるでしょうか。
預金口座を差し押さえても、残高が少なかった場合などは効果的ではありません。ですから少額ずつでも給料から毎月強制的に回収する方法が一般的です。この場合は、裁判所から職場へ『差し押さえ命令』が送達されます。浮気相手の職場が『第三債務者』として、債権者(あなた)に対して差し押さえした給料を支払う義務が生じてくるのです。
差し押さえが可能なのは、給料から住民税、所得税、社会保険料などを引いた額の約四分の一までと定められています。浮気相手の給料が少なかった場合などは、全額支払いまでにかなりの時間を要することも考えられます。ですが、慰謝料の支払いが滞った場合も勤務先さえ判明していれば、給料を差し押さえることも可能です。
示談で済ませる場合は慰謝料の給料差し押さえのためには浮気したことを公正証書として残しておかなくてはいけません。法的なことが絡んでくるので、訴訟や給料差し押さえ等は弁護士の方に相談したほうがいいでしょう。
制裁のために内容証明を職場に送るのは危険?
自宅の住所は分かっているけど、職場・勤務先の住所を調べたいという人の中には「社会的制裁を加えたい、会社に居づらくしてやりたい!」と『制裁目的』で内容証明を会社に郵送したいと思っている方もいると思います。
もちろん、内容証明の郵送は法律的には問題はありません。しかし、時としてトラブルが発生するケースもあるので注意が必要です。
慰謝料請求のために職場へ内容証明を郵送するのは問題がありませんが、『暴露』や『制裁』を目的に内容証明書を送るのは「名誉棄損」に該当する危険性があります。名誉棄損は刑法第230条に該当し、訴えられれば3年以下の懲役もしくは禁錮、または50万円以下の罰金に処されてしまいます。
もちろん、民事上で損害賠償を請求されることも考えられます。ですから「会社にバレるように送ってやれ!」等と考えると、逆にあなたが訴えられてしまう場合もあります。
最悪のケースでは、自分が罰金を払ったり職を失うことにもなるので、会社へ制裁目当てで内容証明を郵送するのは、避けた方が良さそうです。
→「浮気相手への仕返しはどこまでが合法的ですか?ばらしても大丈夫?」
勤務先へ内容証明を郵送する時に注意すべきことは?
そうは言っても、自宅の住所が不明だったり、何らかの理由で自宅へ郵送できない場合は、会社へ内容証明を送らなければなりません。では、その際に注意すべきこととは何なのでしょうか?
職場へは親展で郵送
まず、絶対に第三者に封を開けられないように、「親展」扱いで郵送するようにします。例えば、『○○社内××様』と『親展』を必ずセットで封筒に記載してください。親展は信書(個人あての手紙)に該当しますから、たとえ会社へ郵送されたものでも本人以外の開封は通常、認められていません。刑法第133条に「正当な理由がないのに封をしている信書を開けたものは、1年以下の懲役または罰金20万円に処する」と定められています。
宛名を個人名で記載し、親展も追加したのにも関わらず勝手に封を開けられてしまい、その結果として浮気がバレた場合はあなたのせいにはなりません。「なぜ私がそこまで気を使わなくちゃダメなの!」と立腹する気持ちは理解できますが、逆に訴えられるなんて嫌ですよね?会社へ内容証明を郵送する時は、十分に注意するように心がけたいものです。
浮気相手の職場や勤務先を特定するには
慰謝料請求の時には浮気相手の名前、住所、職場を抑えておくことが大切です。浮気相手の職場、勤務先を特定したい場合は探偵を利用してみてはどうでしょうか?
探偵を利用することで、勤務先以外にも収入状況などを調べてもらうことができ、慰謝料請求を有利に進めることができます。
浮気相手の職場から収入も調べてもらえる
浮気相手の身辺調査をしてもらうことで、収入を調べてもらうことが出来ます。場合によっては資産や財産、預貯金、借金なども調査可能です。浮気調査を探偵に依頼する場合は、同時進行として浮気相手の女性の身辺調査、素行調査も依頼すると慰謝料請求しやすくなると言えるでしょう。
お金がない人に多額の慰謝料請求をしても時間の無駄です。浮気された悔しさは慰謝料では賄いきれませんが、『無い袖は振れない』という言葉もあります。有効的に慰謝料の請求をするためには、ある程度の収入や資産を知っておくと便利ですね。
→「探偵は身辺調査で浮気相手の個人情報をどこまで特定できる?」
探偵に頼めば慰謝料の額を増やせるかも?
探偵に調べてもらうことで、勤務先によっては慰謝料の額を増やすことが可能です。
例えば大手企業に勤務する正社員や公務員だった場合は、安定した収入があり支払い能力もあると考えられます。その場合は相場以上の慰謝料を期待できるでしょう。
また、浮気相手が夫の会社の上司など責任ある立場だったケースなどは、通常よりも高額な慰謝料の請求が出来ます。地位を利用しての不倫と考えられますから、本人も責任を感じていれば、あなたの要求にすんなり応じてくれることが考えられます。
ただ制裁目的で会社に内容証明を発送して浮気相手が仕事を辞めてしまった時などは、給料の差し押さえは厳しくなります。
慰謝料の額が上がれば浮気された気持ちが貼れるわけではありませんが、それで少しでもあなたの気が晴れるなら探偵にとことんお願いしてみてはどうでしょうか?